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Googleストリートビューは問題だなぁ

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2008年 10月 01日

「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(9)

「ストリートビューというサービス開始の日
ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(9):北口学

 16日と22日の2回「朝日新聞」の読者投書欄で「ストリートビューサービスを即刻停止してほしい」という記事が掲載されました。
http://d.hatena.ne.jp/YUYUKOALA/20080822/StreetView_Voice





 数日前の朝日新聞(だったと思う)のネット版のコラムには「ネット上のブログやHPを読んでみて現在のところストリートビュー容認派は6割、否定派は4割ほど」との記事を目にもしました。インターネットをあまり知らないという人々がまだまだ多い日本だがそれらの人々にストリートビュー機能に付いて説明してみる事を積極的にここ数日行なってみた感触では「気味が悪い、写されたくない、公開されたくない」という人は8割を越えるような感想を持ちました。日本全体では否定派のほうが圧倒的に多いのではないか?と空想しています。
 日本と同日にサービス開始をした豪州でもプライバシーを始め多くの問題が噴出してきた事が世界のメディアで報道されています。

http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20378762,00.htm  日本語
http://news.cnet.com/8301-17852_3-10016077-71.html 英語

 新しい技術への拒否反応、「明治時代の写真撮影は魂を抜かれるに類する反応」だという推進派の論調や、新たなサービス、技術革新、画期的な技術の活用へ水を差すなといった論調も見受けられますが、それは違うなと思っています。実現可能な技術ではあるが、優先して熟考すべき重要な問題点が多々存在すること、心を傷める人々の存在への配慮がとても重要なことである時代に私達は生きているということ、時代によって進捗してゆく「人権」や「プライバシー」への配慮が大きなファクターとなっているように思います。
 米国でサービスが開始されオープンに議会や政府機関、広く市民を交えながらメディアなどで検討を続けている欧米、特に欧州では日本のような公開・サービスのスタートを行なった例はありませんし、限定的なサービス開始をしているフランスは異例ですが、日本と同様にネット活用が90年代から盛んだったドイツや英国などでもストリートビューサービスは開始されていないのです。
 可能ではあるが行使しない科学技術やテクノロジーはそれこそたくさんあるわけです。
 1990年代半ばにドイツのロマ(ジプシーとの差別呼称で呼ばれている人々)の人権擁護組織に勤務するドイツ人青年とアルゼンチンの山岳地域を一緒に旅行する機会がありました。「インターネット上の差別記述と差別扇動は重要な問題でEUや国連人権委員会へのレポート提出などを行なっている真っ最中さ」と語ってくれたことを思い出します。世界にはさまざまな問題が生起し、絶え間ない、より良い社会実現のためにいろんな事をしている人がいるのだなと思ったものです。
 
 昨日会った知人から「隣の家ビューって知ってる?」すごいよー。と教えられ早速検索を掛けてみた。
 小学生が夏休みの自由研究としてGoogleストリートビューを真似て「隣の家を写真に撮影し自作のストリートビュー」を作成、インターネットにブログとして公開したから騒ぎになった、「Google社の、公道からの撮影とおなじだから法的問題はなし」と開き直ったから騒ぎがさらに大きくなり現在、そのブログは閉鎖されているとのこと、そういう作り話が掲示されたサイトだ。

http://noonai.blog9.fc2.com/blog-entry-867.html
「小学生のブログが話題 隣の家ビューを作ってみた」
 (2008年8月5日付)

 今日会った友人とは「うーーーん、と絶句だねー」と。
 「これはひどい個人攻撃のツールとして利用される恐れもあるよな、ご近所さんに監視されてネットで公開されるなんて、ちょっととんでもないツールじゃないのか?これ?作り話だけど、実際に模倣犯いっぱいでてきそうじゃない?」
個人攻撃のツールとしての懸念がストリートビューにはあると記述されていた敬和大学教員の方のブログが現実味を帯びてしまいます

http://shinyai.cocolog-nifty.com/shinyai/2008/08/google_1ab4.html

 現在、主に被差別部落の人々への差別扇動という「攻撃」に巨大掲示板などで利用されているストリートビューサービスは、「あいつ気に入らないから攻撃してやろう」「ご近所トラブルを我慢するにもほどがある、悪口をネットで書いてやろう」というツールと化し、だれがその攻撃を受けるか解らない状態になってゆきはしないかという懸念が自然にもたげてきます。
 個人宅の画像や表札、人物、車などのナンバープレートの画像も十分多様な情報を有しているデータです。自分の家が無許可で撮影され画像として世界に公開されていることに「それは気持ち悪い」という自然な反応があります。その上に、悪意のあるなしに関わらず、近隣の人々や知人に簡単に利用できる自宅の画像を公開され、「この家はいまイタリア旅行中、うらやましいわ」「いつも夜9時に帰宅している家ですが」「あ、ストリートビューに写っているこの家の洗濯物は○○ちゃんのものだ。夜9時まで一緒にスイミングがんばってます」などの付加情報が加味されネットに現れてくることの恐ろしさが杞憂で終ってくれればいいのだけれど・・・・。
 「きっと、出てくるさ。ご近所トラブルとかさ、会社でのトラブル、うさを晴らそうとかの動機、学校裏サイトとかでもさー、なんか出てきそうだと思わないか?」

 友人と別れて歩きながら考えてみた。
 差別意識や差別感情を持つ人々の中で、被差別部落近隣のひと、近所で生まれ育った人がよりそれを強く持っているというだれかの言葉を。
 インターネット上の匿名掲示板の書き込みの正確性や行政資料の同和地区記述うんぬんを語り、自分のストレス発散、誤った知識、溢れる差別扇動ネット情報の鵜呑み、被差別部落の人々の心をずたずたに傷つけるためだけに悪質な差別書き込みの深刻さの論点をすり替え、地名総鑑問題やネットでの「地名さらし」の深刻さを不問にしようとする論理があえてスルーする、近隣住民の今なお根強い差別意識。匿名差別掲示板に書き込まれる差別書き込みはそのような人々が近隣や自分が知っている地域を悪意を持って書き込んでいるのだろうと。それが集積されていく。
 差別意識が便利なツールと合体して差別書き込みが氾濫している。
 そして、それは被差別部落の人々にだけ向けられたリスクではなくなったなぁと。Google社ストリートビューが我々になぜそのような恐ろしいリスクを押し付ける権限や権利を持っているというのか?

 しかし、どうして日本のマスメディアは海外の動き、情報をきちんと伝えないんだろなぁ・・・・欧州では全然、まともに開始してる国なんてないじゃーーーん!!


2008-08-26



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●ストリートビュー問題 資料など
自治体可決意見書一覧(1)
http://nostreet.exblog.jp/10335072/
すぐ読んでみる

自治体可決意見書一覧(2)
http://nostreet.exblog.jp/10335103/
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自治体可決意見書一覧(3)
http://nostreet.exblog.jp/10398189/
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40回目までの過去の連載内容の一覧
http://nostreet.exblog.jp/10564889/
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by hrosaka056 | 2008-10-01 01:56


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