2008年 10月 01日
「ストリートビューというサービス開始の日 ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(11):北口学 Googleストリートビューの問題がマスコミ新聞でもぽつぽつ論議されていますね。 Google社の対応やサービス賛成派の人々は、あえて重要な問題には触れていないという状況は相変わらずとも言えるなと思っています。おいおい反論の原稿を連載してゆきます。 プライバシー問題に偏向して論議をリードしてゆきたいGoogle社の雰囲気、おうむ返しのようなかたくなにそれ以外への論議の波及を恐れるかのようなGoogle社の姿勢は下記のような報道すら登場させています。 「グーグル株式会社の3つの虚偽(まとめ)高木浩光@自宅日記」より http://www.tokyo-np.co.jp/book/shohyo/shohyo2007102802.html ● ● ● 以下 上記HPより 8月30日の東京新聞朝刊に「ストリートビューの是非」という特報記事が出ている。記事は数々の問題点を挙げた上で、最後に次のように結んでいる。 「こうした状況への対応も含め疑問に答えてもらおうと、グーグルに二十六日から再三、取材を申し込んでいるが、二十九日現在、何の音さたもない。 東京新聞2008年8月30日朝刊」 ● ● ● 部分引用終り 高木さんのGoogle社ストリートビューに関する問題点を端的に記述している上記のページは他にもいろんな意見が述べられている素敵なブログだなと思います。 Google社やストリートビューを論述する文章に見られないのは、(素敵な高木さんのスタイルを真似てみると、Google社の主張と論争には)3点の忌避・秘匿論点があるように思います。 1つ目は、なぜこのサービスは欧州でスタートできていないのかという点、そしてカナダですぐにサービス停止となったのかという点でしょう。 フランスでは北アフリカ系移民の子孫の貧しい若者たちが「怒れる若者」と称され貧しい移民の多く住むビリエルビなどで騒乱事態となっていたのは昨年の12月のことであった。失業や不安、人種差別はその町に住む若者たちの不満を蓄積させていた。 ドイツ・東欧では、いまだに厳しいロマ民族(ジプシーと呼ばれた人々)の居住地が周辺住民のテロや嫌がらせ、焼き打ち事件などで基本的人権を踏みにじる深刻で緊迫した残虐な事件が頻発している。 ギリシャやイタリアでもロマの人々は独特の宗教や生活習慣を堅持しながら暮らすコミュニティ、集住地域が存在する。そして厳しい差別にさらされている。 トルコ・イスタンブールを訪問したときにはクルド民族が貧困のため仕事を求めて都市部に居住区を形成、劣悪な都市スラムでは「ゲジュコンド(一夜作りの家)」が乱立していた。 英国のキングス・クロス駅周辺を散策していたときにはインド系移民の子孫たちで構成されている商業エリアが広がっており、その安宿で懐かしいインド料理を食べたものだった。 欧州ではこのような居住地域と人種間あつれきや貧困移民問題は日本と同様に深刻な人権問題として存在する。 私は日本のGoogleストリートビューのサービスを悪用して「これが在日韓国・朝鮮人」の家、「韓国人が多い町はここ」「被差別部落の住宅映像はこれ」と指し示す日本の状況を見つめながら、1年以上も論議され、いまだに日本のようなでたらめなサービス開始を「人権」という問題への熟慮と良識ある判断で開始していない欧州の人権意識重視や差別問題への留意姿勢を思います。 欧米のGoogle社は人種問題、人権問題、差別問題に向き合ってサービスを開始できていないのに、日本のGoogle社の責任者は髪の毛ほどの「人権意識・人権感覚」すらも持ちえていないのではないかと深くため息をついてしまう。日本にも排外主義、外国人差別、被差別部落への差別が存在するにも関わらずである。この部分はもっともっと日本のメディアは国民に伝えるべきポイントだと思います。 「日本のような住環境、都市構造で事前の論議もなくサービス開始をしている我が国こそが世界の中でも異例、暴挙」と! メディアは新しい技術への賛否を併記して報道するばかりではなく、欧州の現状を分析しすこしは考えて記事を作るべきではないのかと思ってしまいます。そのあたりのGoogle社の問題点は次回に書きますが、世界が直面している社会問題、人権問題などをグローバルな視点で、私達はGoogle社やテクノロジーの問題に向き合うときも考えてゆくことが大事だと考えています。 日本の被差別マイノリティがこのGoogleのストリートビューに対して問題という姿勢を打ち出すのは、世界が見えていないGoogleストリートビュー容認派の人々よりも遙かに国際的な主張であると思える。自信を持ってNO!と当事者たちが考えを述べることに絶対の正当性と国際性を感じられるといえます。 カナダにも多数の先住民族、北極圏に近いところで伝統的な暮らしをする人々や移民の人々の町があります。それらの差別問題と社会を背景にした社会問題とカナダのプライバシー法は不可分の関係を持っているといえるでしょう。 日本と同時にサービスとスタートして多くの問題発現が伝わってくるオーストラリアも北部ノーザンテリトリーなどで顕著な先住民族居住地域、リザベーション地域の問題が深刻に横たわっているのです。豪州の先住民族アボリジニは「失われた世代」という「白人同化政策」が深刻な傷跡を成人アボリジニの人生に深く残し、大きな社会問題となっています。ノーザンテリトリーの居住区の様子を現地雑誌や新聞で散見したり、昔訪問したころの事を思い出しますと、差別的好奇心の閲覧や、それに伴う差別嘲笑記述などの発生が予測されます。伝統的なアボリジニの生活を破壊し、差別と貧困の中でアルコール依存など深刻な問題を持つ豪州とストリートビュー。日本のような差別を流布する匿名掲示板の存在があり、より深刻な事態を生み出す構造が豪州にあるのかどうか未確認ですが、民族融和や共存に多くの困難と深刻な暗部をいまだに克服しえない豪州でもGoogleストリートビューサービス開始は被差別マイノリティの側から悲しい悪用される機能であるとの声が聞こえてくるのも時間の問題ではないかと思えています。 日本でGoogleストリートビューに関して、プライバシーという人権を侵犯されている多くの人々と問題を告発し、抗議の声を揚げてゆく行動は、欧州や豪州の、そして世界のマイノリティの人権を守る大切な国際連帯と共闘ではないのか?と思えてきます。 あらら、1つめで紙面がいっぱいだ。 Google社とストリートビューが避けて隠している問題の2、3 は次回につづくなのだぁ。 すてきな高木さんのブログを真似てみたけど、失敗(テレ 汗)。 序論はそろそろ終えて、本論にやっと入って行けそうです。 (つづく) ●これまでの私の連載 (1)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-71.html (2)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-75.html (3)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-83.html (4)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-84.html (5)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-85.html (6)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-98.html (7)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-102.html (8)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-112.html (9)http://jnetmore.blog50.fc2.com/blog-entry-113.html (10)http://journalist-net.com/cat326/2008/08/post_344.php ●おまけ とてもすてきなデータが発表されています。 http://japan.internet.com/research/20080903/1.html 「このままではサービス継続は無理では?」という論等もネットメディアにでてきています。 (しかしながらさらされ続けている被差別部落の画像は多くのPCに保管されてしまっています。被害は延々サービス開始されている限り拡大しています。) 「ストリートビュー」意識調査を発表 プライバシーに不安も 12の大都市圏でスタートした日本サービス。今後、全国展開された場合に懸念されること を複数回答形式で質問。最多は「プライバシー侵害の不安」で67.6%。次いで「犯罪に使われないか不安」が58.0%、「削除申請できるか不安」43.6%、「そもそも勝手に家が晒されることに遺憾」37.0%。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080828-00000007-rbb-ent 7割がプライバシー侵害に不安というアンケート結果も情報サイトが発表。 http://blogch.jp/up/2008/08/28100106.html 2008-09-05 ※ ※ ※ ●ストリートビュー問題 資料など 自治体可決意見書一覧(1) http://nostreet.exblog.jp/10335072/ <すぐ読んでみる> 自治体可決意見書一覧(2) http://nostreet.exblog.jp/10335103/ <すぐ読んでみる> 自治体可決意見書一覧(3) http://nostreet.exblog.jp/10398189/ <すぐ読んでみる> 40回目までの過去の連載内容の一覧 http://nostreet.exblog.jp/10564889/ <すぐ読んでみる> ※ ※ ※ この連載は「ジャーナリスト・ネット」にて連載中 http://www.journalist-net.com/ ぜひ上記「Jounalist-Net」もご訪問下さいませ♪ <ちょっと訪問してみる>
by hrosaka056
| 2008-10-01 02:14
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アバウト
「ジャーナリストネット」連載より了解を得て転載。当URLの紹介は歓迎です。最下部「前へ」「次へ」で、過去ページ。問題資料URLが多し。「子ども権利条約16条」など重要!!
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