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Googleストリートビューは問題だなぁ

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2008年 10月 14日

「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(21)

「ストリートビューというサービス開始の日ー爆発的に増殖する深刻な問題を見つめて」(21)
北口学

 グーグル・ストリートビュー問題を巡って町田市の意見書など多くの報道や動きがあった1週間でしたね。これは今後さらに噴出してくると思えます。おいおい言及や分析は進めてゆきたいと考えています。
http://www.gikai-machida.jp/ketsugi/f_ketsugi.html
(町田市のホームページの可決された意見書)
 私の連載をお読みいただいて、出来るだけ多くの人が地元自治体に質問や問い合わせの電話をして下さる事を切望して毎回この連載原稿を書いています。市民の声が届かないと自治体って本当に動かないと思うからです。良心的な自治体職員の人々も身動きがとれないとも言えます。
 今回は、基本的な問題と重要と思える視点をどうしても書き留めておきたいと思います。

 グーグル・ストリートビューの日本サービス開始に対して、私の目から見て最も健全で切実と思える反応をインターネット上や地域社会で見せていたのは子を持つ女性たちであったと思います。勤務・通勤・仕事に追われインターネットにアクセスする時間的な余裕の少ない男性に比べ、子どもを取り巻く現代社会とインターネット社会の本質や当然の危機感を矢継ぎ早に表明していたのは女性たちと思えました。ネット通販やWEB検索、チャットやMIXI情報などを日常的に活用しているのは、男性よりも、子どもを学校に送り出したあとの女性たちではないでしょうか。子どもたちが学校教育現場でインターネット関連の教育や家庭での実際のネット利用の姿を知っているのもグーグル・ストリートビューで映し出される家や地域で過ごす時間が多いのは女性だったと改めて認識しました。登下校時の児童の様子が無神経にストリート・ビューに映し出されている事は防犯のために登下校ルートを公開することも避けている保護者たちに受け入れられない画像という反応も今の時世、よく理解できる意見でしたし、
 「子どもたちがストリートビューにクラスメートの住所を打ち込んでお互いの家の外観の批評を教室でしているケースがあるようです。」
 そんな女性のネットでの深刻な書き込みを見たとき思い出したのは下記の文言です。

「子ども権利条約」
第16条 プライバシー・名誉は守られる
 子どもは、自分のこと、家族のくらし、住んでいるところ、電話や手紙など、人に知られたくないときは、それを守ることができます。また、他人からほこりを傷つけられない権利があります。
(子どもの権利条約 日本ユニセフ協会抄訳 下記より引用)
http://www.unicef.or.jp/kenri/syo9-16.htm  

 「公道上からの撮影なら合法」というグーグル側の一方的な主張は説得力もありませんし、自宅の画像をネットで公開される不愉快さ以上に「子どもや地域社会の安全」を心配するという女性たちの反応はまっとうなことと思えます。
 「公道」というアメリカからやってきた副社長(法務担当者)の記者会見での言葉も違和感というか、自己都合のアメリカという国にしか通用しなさそうな主張が{日本人はそう信じてグーグルの都合に従え!}というセリフにしか聞こえなかったのです。まぁ、確かに日本の多くの人は「アメリカという一国家の常識は世界のスタンダード、アメリカ人の発言は国際的常識なのだろな」と大きな錯覚と誤解をしやすいような気はしておりますが・・・・。
 アジア・太平洋州は言うまでもなく、アフリカや南米諸国では土地の所有関係や形態は多様なのです。国有地や私有地という2分法で道路を語れる国家、社会は少数の先進国にしか過ぎないのではないか?と私には思えています。国有地の存在する国家も多く見られますが、同時にエスニック・グループの所有や、その地権形態も部族集団が土地所有権利を集団で保有している場合や民族自治エリア、入会地や地域コミュニティ、クランという集団単位が土地権を保有している社会は無数に存在している姿を多くの国や地域で見てきました。その多様さと複雑さこそが国際社会の多様性だと思います。
 キリバス共和国、トンガ、サモア、フィジー共和国などのオセアニア諸国でも、アジア諸国でもそれは広く見られる事柄です。中東やアフリカ、中南米でもそうだと思います。
 オセアニア諸国で宿泊させて貰った多くの一般市民の家庭、家屋、集落で散見した感じでは、部族集団所有の土地に通る道路でも政府が整備しているものが多かったわけです。その家々は壁もない家が多く、内部が丸見えでおおらかなものでした。道路はコミュニティが権利保有する土地を貫通する道路が多かったですね。まぁ、ストリートビューがやってくれば家の中も丸見えでしょうね。彼らの日常生活は、地域コミュニティの仲間には家屋内部は見られてもいいという文化やライフスタイルであるとは言えますが、世界にネットで公開されることは想定していないだろうと思います。
 ですから、アメリカからやってきて「公道からなら合法・・・なんて、外国である日本にやってきて自国の理屈をよくもしゃぁしゃぁと、あたかも「わたしの言うことは国際的なスタンダード」って感じで語るよなぁ・・・」と思ってしまったわけです。
 ネット上での言説でも「道路からだれでもその場に行けば見るものはグーグルがネットで公開してもOKだろう」という意見が散見できます。
 しかし、道路から伺える家の外観や合わせてネット配信されている地図情報、住所検索機能、グーグル・ストリートビューの無神経なサービスは深刻な大問題をはらむというのが全世界の一般的な受け止め方だと私には思えます。家の外観に重要なプライバシーが表出するということが全世界の多くの地域で言えると思うからです。
 アジア・太平洋・アフリカ・北米・中南米では所属するエスニック・グループや信じる宗教、その宗派、信仰のシンボルを家屋に見ることがよくできます。トーテムポールや柱の彫刻、伝統的民族建築の家屋の形態や宗教的デコレーションなどなど。
 これらは重大でセンシティブな多くのプライバシー情報といえます。
 さきのサッカー、フランスでの開催ワールドカップ大会で高らかにアナウンスされた「人種差別主義と闘う大会」との位置付けに象徴的に顕れたように、欧州を始め全世界では人種差別や民族紛争、宗教対立が噴出しています。国連は「人種差別と闘う国連10年」を定め国際的な注目と関心、取り組みも進められているのが現代の国際社会であると思っています。フランスではアフリカ系移民の若者たちの差別や雇用不安、貧困などが大きな抗議行動となってニュース報道が日本にも流れてきていたことを思い出します。ドイツでは非常に深刻な「ロマ」という人々と家族に対する差別と迫害が続発していると昨年発売された「DAYS JAPAN」で壮絶なフォト・ルポルタージュが掲載されていました。欧州全域でロマやスィンティという人々が直面している厳しい差別はギリシャ、イタリア、フランスなど欧州全域の非常に深刻な事態と人権問題なのです。同様にバスク民族やトルコ山岳地帯のクルド民族の現実や諸問題も多くの優れたドキュメンタリー映画や劇映画、国際ニュースやNGOの活動で良く知られていることです。これらはほんの一例です。タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシア、中国、スーダン、バルト諸国、ブラジル、メキシコ、コロンビア、アルゼンチン・・・その他の国々や地域で類例には事欠きません。
 
 日本では固有の人権問題や差別問題が存在します。在日韓国・朝鮮人の国旗を掲げていた家の画像を掲げて差別言辞を書き込む人も多く見られるグーグル・ストリートビューの日本サービスが生み出している問題や事象、差別匿名掲示板の書き込みやインターネットの日本の人権侵害問題は多くの世界的人権問題とダイレクトに繋がっていると思います。
 日本では公的機関による古い地図のインターネット公開には多くの配慮が当然なされて来たと思えます。また、プライバシーや人権に関する情報取り扱いへの指導や通達などが、政府によって地方自治体や地図業者にはなされて来たと思っています。同様に世界各国には多様な問題や社会、状況が存在しているのです。それは本当に多様です。そのことを考える事によってグーグル・ストリートビューのサービス公開が現在も僅かな地域や国でしか開始出来ていない理由が浮かび上がってきます。

 そんな視点でもう一度、アメリカからやってきたグーグル社の法務担当者の記者会見内容をもう一度とらえ直して見ませんか?
 「ちっともグローバルじゃねぇな。」って。
 「ちょっと待った!!」って方がよっぽどグローバルで世界の人々と繋がってるんだぜ!」って。


□□□□□□□■ 詳細決定!です■□□□□□□□

「ストリートビュー問題大阪シンポジウム」
 ープライバシー・人権・ネット時代
     Googleストリートビューが問い掛けるものー

10月27日(月曜日) 大阪綜合生涯学習センター(大阪・梅田)にて
PM6時〜9時  第一研修室にて
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪駅前第2ビル5・6階
資料代 800円 高齢者、障がい者、高校生以下無料

■プログラム (予定)■

 ライブのインターネット画面をご覧頂きながらストリートビューの実像とイン
ターネット世界の現実を報告の後、中村信彦市議・若竹綾子元市議からの関東・
関西の報告をしていただきます。
  会場からの提起
  ディスカッション
   司会 川瀬俊治さん

パネリスト紹介

・中村信彦 茨木市議会議員 民主みらい
・若竹綾子 元小金井市市議 ユニフェム多摩会長
 (国連女性開発基金(UNIFEM)日本国内委員会)
・北口学 「人権ジャーナリストの会」事務局長
・川瀬俊治 インターネット新聞「ジャーナリスト・ネット」代表

問い合わせ
 メール  ibaraki_no_view@yahoo.co.jp

共催;ジャーナリスト・ネット
  http://www.journalist-net.com/
  http://archive.mag2.com/0000156149/index.html
   日本人権ジャーナリストの会
  http://www.jjahr.jp/
  http://archive.mag2.com/0000269496/index.html

参考ブログ http://nostreet.exblog.jp/i1



   ※   ※   ※

●ストリートビュー問題 資料など
自治体可決意見書一覧(1)
http://nostreet.exblog.jp/10335072/
すぐ読んでみる

自治体可決意見書一覧(2)
http://nostreet.exblog.jp/10335103/
すぐ読んでみる

自治体可決意見書一覧(3)
http://nostreet.exblog.jp/10398189/
すぐ読んでみる

40回目までの過去の連載内容の一覧
http://nostreet.exblog.jp/10564889/
すぐ読んでみる

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 この連載は「ジャーナリスト・ネット」にて連載中
 http://www.journalist-net.com/
 ぜひ上記「Jounalist-Net」もご訪問下さいませ♪
ちょっと訪問してみる

by hrosaka056 | 2008-10-14 19:05


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