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Googleストリートビューは問題だなぁ

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2008年 11月 25日

ジャーナリストネット ストリートビューと人権(1)清見久夫

●「ひとりの市民」として「グーグル・マップ問題」に取り組んで
  鳥取県大山町(だいせんちょう)
   清見(せいみ)久夫
私が「グーグル・マップ問題」で、具体的な行動を始めたキッカケは、私が参加するインターネットのメーリングリストを通じて、北口学さんから「ストリートビューを考える大阪シンポジュウムの資料」をいただいたことからでした。「資料が残っています。提供します・・・」と呼びかけられました。資料をいただいて「さて、これから勉強しようか」と考えていた、資料が届いた当日に、北口さんから電話で「緊急です」として、グーグル・マップで個人情報漏洩の問題が生じていることを知らされました。資料をいただいて、問題を考えるうちに「何かをしなければ」という思いが生まれました。
グーグル社の強力な検索機能をベースにして、これに地図情報(マップ)・景観(ストリート・ビュー)の動画機能がリンクされています。まさしく、基本的な機能の中に「誰でもが部落地名総監を作れる道具が提供されている」ことを直感しました。部落問題での被差別の当事者として、大きな衝撃を受けました。ましてや「グーグル・マップは、個人情報保護の視点に反して「一般公開」を前提としており、さらにシステムにも致命的な欠陥がある等々、現実を前にして、「私に出来ることは何だろう」という私自身への問いかけを始めました。私が考えた具体的な行動、結局は「ひとりの市民」として地域の行政、機関への問題提起をすることから始めることでした。
文書「「グーグル・マップ」の取り扱いについて(お願い)」を作成して、私が住む鳥取県・県内市町村に宛てて、行政・学校等での利用実態の調査・点検と、関係機関に対しての注意喚起の周知をお願いしました。内容は、1.お願いしたいこと、2.お願いする理由、と整理して平易な文章を心がけ、お伝えしました。担当部署に直接に宛てたメールによる送信、またはホームページに設けられた、行政相談フォームを利用しました。
担当部署については、個人情報保護担当部署、情報セキュリティ担当部署、人権推進・啓発担当部署、それぞれに配信しました。これは担当部署が横断的に問題との関わりを捉えてほしいこともありましたが、複数の部署に送っておけば、どこかの部署で関心を持ってくれるだろうという理由からでした。既に、幾つかの市町村からの返事がきています。私が居住する町が、早速に対応を始めてくれたこと、やはりうれしいものです。多くは、情報セキュリティ部門からの回答です。私の当面の目的は、「利用実態の調査・点検と、関係機関に対しての注意喚起周知」について、具体的に回答を求めていくことにあります。

私は以前にも、「ひとりの市民」としての行政・機関への問題提起と改善要請をした経験があります。2006年の年末から翌年初めにかけて、図書館蔵書のインターネット検索で、大多数のハンセン病問題関係の蔵書が件名として「らい病」として登録されていることを偶然に発見し、47都道府県立図書館に指摘をして、「ハンセン病」表記に修正していただきました。この時も文書を作り、メールによる配信の方法を取りました。この時、私の気持ちを動かしたのは、それより以前に、ハンセン病問題シンポジウムでコーディネーターを努めた際に、学び直しをした、ハンセン病問題についての知識であり、シンポジウムにお招きした国立療養所入所者の方の、人権の回復への闘いと願いにふれたことでした。

もうひとつ行動をすすめるうえで、大いに役立ったことがあります。私は、かつてソフトウェア開発に従事していましたので、ソフトウェア構成についての「おおよその理屈」が推測できるという点です。図書館の蔵書検索でも、図書目録データベースの存在を確認し、既に登録されている蔵書についてはそれぞれの図書館で手作業による個々の修正を依頼し、図書目録データベースを作成し販売する企業には、これから以降の提供データを「ハンセン病」に変更して出荷してほしい旨を交渉し、それぞれに情報を提供しました。そして図書館協会には、周知のお願いをしました。学生時代に出版社でアルバイトをしていたことがあり、書籍の流通ルートが記憶に残っていたことも有効でした。

ある問題が生じた時、どれだけ自分の仕事に引き寄せて、重ねて考えることができるのかという課題があると思います。図書館の問題についても、らい予防法が廃止されて、「これから先は「らい病」という表現は使用しないようにしよう」という社会的合意があったことを知っていても、自分の仕事に引き寄せて考えることが出来ていなかった、気付いていても自分のセクションに中の気づきに留まっているからです。

私は企業の立場で、個人情報保護についてのPマーク(プライバシーマーク)の認定取得に取り組んだことがあります。「自社は個人情報の保護に取り組んでいる」ことを、社会的に証明する認定制度であり、厳しい審査を経て認定されます。
多くの費用と時間を費やして取得します。
ここで求められる対策は、「個人情報は漏れるもの」という前提です。完全な「生悪説」に立っています。個人情報を管理するネットワークは他の業務と兼用することを避けるように指導されます。「公開」「非公開」を問わずインターネットに個人情報を掲載すること自体が論外です。業務としてグーグル・マップに個人情報をのせている事実だけで審査は通りません。審査員から笑われてお終いです。企業、団体、行政も含めて、個人情報を含むマイ・マップは存在しようがないはずなのです。コンプライアンス遵守を考えれば、グーグル社は日本におけるサービス提供をする限りにおいては、せめて「非公開」を原則としたサービス体系とするのが企業モラルだと考えます。

私が切り分けた、もうひとつの「グーグル問題」、「グーグル・ストリートビュー問題」、もっと多くの人々と連携して進めたいと思います。「ひとりの市民」として立つ姿勢は変えられませんが・・・。

わたしたち発メッセージ
http://www.chukai.ne.jp/~seimi/index.html
ハンセン病人権問題 図書件名が私たちに問いかけるもの
http://sun.ap.teacup.com/hyoukimondai/

行政に宛てた文書です
「グーグル・マップ」の取り扱いについて(お願い)
http://www.chukai.ne.jp/~seimi/googlebunsyo.htm

(清見久夫)


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●ストリートビュー問題 資料など
自治体可決意見書一覧(1)
http://nostreet.exblog.jp/10335072/
すぐ読んでみる

自治体可決意見書一覧(2)
http://nostreet.exblog.jp/10335103/
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自治体可決意見書一覧(3)
http://nostreet.exblog.jp/10398189/
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40回目までの過去の連載内容の一覧
http://nostreet.exblog.jp/10564889/
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 この連載は「ジャーナリスト・ネット」にて連載中
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by hrosaka056 | 2008-11-25 14:25


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